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新井研について / About
"It is difficult to say what is impossible, for the dream of yesterday is the hope of today and the reality of tomorrow."
─Dr. Robert H. Goddard (1882 - 1945)
新井研究室では以下の方針のもと教育・研究を行っています. ぜひ,我々と一緒に研究を行いませんか?
航空宇宙工学分野における実験シミュレーション科学の重要性
ライト兄弟の初飛行とツィオルコフスキーの宇宙ロケット構想から約100年経ち,人類は航空機とロケットにより,宇宙空間をも含む空間移動の手段を手に入れました.その間,技術開発の手段として,多くの風洞実験やサブスケールの実験機等を用いた実験が行われ,大きな成果を上げてきたことは周知のことです.今日においては,これらの実験手段の代わりとしてCFDを含む数値シミュレーション技術が多く用いられるようになってきており,開発時間や経費の大幅な削減が可能になってきています.特に,超音速機や宇宙航空機(スペースプレーン)の開発には,CFDを含む数値シミュレーション技術が必要不可欠です.しかし,数値シミュレーションは多くの仮定を前提としており,数値シミュレーション結果の妥当性は実験結果で評価しなければなりません.したがって,航空宇宙機等の開発には風洞実験とサブスケールモデル等による実験が依然として必要不可欠です.
航空宇宙工学分野,特に輸送系に関する現在の大きなトピックスは次世代超音速機と再使用型宇宙輸送システムの開発であると考えています.少なくとも,21世紀中ごろには,現在の航空機と同等の安全性,運用性,経済性を備えた宇宙輸送システムを実現する必要があります.このような背景のもと,実機製作に至る開発段階では種々のシミュレーション技術を活用して問題解決をはかる必要があります.その中で,最終的には超音速,極超音速領域における飛行特性,推進特性等を風洞実験で把握する必要があり,その技術を確立することが必要不可欠です.また,要素技術の開発研究にも超音速,極超音速風洞を用いた実験によるシミュレーションが必要であることは疑う余地もありません.
このように,数値シミュレーション技術が発達しても流体力学,気体力学を中心とした風洞実験等の実験シミュレーションの必要性がなくなることはなく,数値シミュレーション技術が発達すればするほど実験における検証が重要となります.すなわち,数値シミュレーション技術と実験によるシミュレーションとは相互に補完する立場にあります.ここでは,実験による種々のシミュレーションによる物理現象の理解,新たな現象の発見,新しいシステムの創造等を実験シミュレーション科学と呼ぶことにします.
シミュレーション科学の手法を身につけた学生の育成
大阪府立大学を卒業,修了した学生は,企業等においてマネージメントの仕事をすることが将来多くなると考えられます.そのような人材に要求される能力は,物事を多面的に捕らえる能力です.本学科,本専攻は,航空機から宇宙機,宇宙ロボティックスにいたる広範囲の教育研究を行っており,数値シミュレーション,実験シミュレーション,システム構成等,極めて多面的に物事を追及する能力を持つ学生を育成するのにふさわしい構成となっています.このことは,私の教育の理想でもあります.当研究室は,ジェネラリストすなわちシミュレーション科学(実験的,数値的)の手法で多方面から物事を解決する能力を身につけた学生を育てたいと考えています.
超音速,極超音速領域における実験シミュレーション科学の確立
大学の使命は有為な人材の育成と新たな学問分野の創造です.前者に関しては上述のとおりです.後者に関して,私は,超音速,極超音速領域における実験シミュレーション科学を確立したいと考えています.すなわち,高度な数値シミュレーションと有機的に結びついた実験手法を超音速,極超音速流れに関して確立し,将来の航空機,宇宙機等の開発に生かしたいと考えています.このことは,人材の育成と無関係ではありません.すなわち,未知の現象の発見に対する着眼性を有し,物理現象の基本的理解や実験結果等の妥当性を判断できる人材の育成をシミュレーション科学の確立を通して行い,学問の発展に寄与したいと思います.
研究テーマ,プロジェクトについて
具体的な研究テーマとしては,流体力学,気体力学を中心として,超音速混合問題(制御と促進),超音速乱流境界層,境界層と衝撃波の干渉,システム統合(宇宙航空機では機体とエンジンを一体として評価しなければならない),計測法,宇宙航空機用空気吸込み式エンジンの開発,等を行います.特に,将来型宇宙輸送システムはこれまでのロケット形式から,有翼機体,空気吸込み式エンジンを持ったスペースプレーンとなると予想されますので,流体力学,気体力学,空気力学等がますます重要性となります.当研究室は,これらの研究課題に積極的にチャレンジし,日本の航空宇宙開発の先導的な役割を果たしたいと考えています.これらの研究テーマは到底1研究室で扱えうる問題ではありませんので,本学科・本専攻の教職員,他大学や研究所,企業等の研究者と共同して行い,上記目的を果たしたいと考えています.
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